エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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ロックンロールの反骨精神を、ヒップホップやエレクトロの刺激に満ちたポップシーンに歌い鳴らすニューアルバム『THE WORLD』。昨年末、ベースの長谷川プリティ敬祐が交通事故で負傷。バンド史上最大の窮地を迎えたgo!go!vanillasにとって、個々の心の中にある世界に溶け込める音楽を、と生み出されたこの作品は、バンド自身の窮地を鼓舞するマイルストーンとなった。

ギター、ベース、ドラムがいる時点で決まりがある
その中で変革できるものは、言葉(歌詞)だなって

——ニューアルバム『THE WORLD』は、バンドが次のレベルに向かい始めたことが歌詞や楽曲からも感じられる1枚。特に歌詞の根源にあるのは焦燥や怒り。まず、前作以降のバニラズに一体何があったのかな、ということが知りたいです。
ジェットセイヤ(以下:セイヤ)「アルバム自体は、去年の頭からほぼ1年かけて徐々に録ってました」
牧 達弥(以下、牧)「その1年の間に何があったというわけでもなく、どちらかと言えば、僕を取り巻く生活含め、そういう世の中になってきたというか。自分の意思や自分の中の正解を提示することは大事なことで、いわゆる炎上があったとしてもそれを恐れていたら何も始まらない。それでも尚、情報を鵜呑みにしたり、受け身でいる人が多い中、ロックバンドが音楽というカウンターカルチャーとしてちゃんと成立しているのか、ということを去年1年を通して考えてたんです。自分が思う一番輝いていた時代のロック……’60年代のロックって、言葉遣いや革新性、カッコ良くヒップであるために見栄を張るスタイル含め、今のヒップホップと同じようなマインドを感じるんですよね」
——筋金入りのロックンローラーかと思いきや、むしろヒップホップの人たちのアティチュードにシンパシーを感じていたとは。
牧「原体験としてカッコいいと感じたものがロックだったから、それに付随して人生があっただけで。例えばそれがヒップホップだったら、ヒップホップをやってたと思うんです。でもギターという楽器やファッションなど、僕にとってロックはカッコいいもの。パンクもそうだけど、ロックも不満や衝動から生まれた音楽で、俺もこんなふうにカッコ良くなりたいと思わせてくれるものだったから。それが今はサービス業っぽくなってきちゃってるというか。金もあって恋人もいるっていう、当たり前の幸せの上で成り立ってるロックなんてダセェって今思っちゃってるんですよね。だからこそ、ロックのカッコ良さがまた復権できるよう、今の流行りの音楽の中に介入できる要素は何だろう? それをロックの中にどう落とし込めるだろう? ってことを模索していて。バンドって、ギターやベース、ドラムがいる時点でひとつの決まりがあるわけですが、そういう中で変革できるものがあるなら、言葉(歌詞)だなっていうところに行き着いたんです」
——その辺の変化をもっとも顕著に感じるのが、『No.999』『サイシンサイコウ』『雑食』『スタンドバイミー』『ワットウィーラブ』と続くアルバムの中盤ゾーン。
牧「実際、『No.999』を作ったぐらいから歌詞含め、“これだな!”みたいな、振り切った時の満たされた感覚がありましたね」
柳沢進太郎(以下、進太郎)「そういう牧さんの心境の変化は歌詞にもしっかり反映されていますし、それ故、僕自身の曲に対しての向き合い方も、今回は前作(『FOOLs』)以上にシャープになった気がします。言葉をしっかり聴かせたいから音に隙間を作ろうとか。そういうマインドになるぐらい、グッとくるものがある歌詞なんです」

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