エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

POSTMAN x POSTMAN (ポストマン × ポストマン)

“仲良しのあの人”や“憧れのあの人”に手紙を届ける人気リレー連載『POSTMAN×POSTMAN』。俳優の東出昌大が次に手紙を書いたのは、音楽家の志人。

手紙を書いた人
東出昌大
手紙を受け取った人
志人
プロフィール
東出昌大(ひがしで まさひろ)
’88年生まれ、埼玉県出身。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。映画近作に『寝ても覚めても』(’08)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(’08)、ドラマ近作に『コンフィデンスマンJP』(’08)、舞台近作に『豊饒の海』(’08)。5/17(金)より映画『コンフィデンスマンJP』が公開される。

http://www.humanite.co.jp/index.html

手紙を拡大

▼志人からの返信
東出昌大 様

ご多忙中にもかかわらず、直筆の御手紙誠に有難うございます。

稜線越しの光 あちらにはきっと都市があるのでしょうか
ひとまる月夜でもないのですが夜ともなれば深山の輪郭は仄明るく
現世と常世の境目がはっきりと見える様で御座います

朝になれば突先には白いほっかむりを被っております
山火事かと思う程の前後不覚に陥らんばかりの濃霧にまかれております

猟銃の講習会を受けた警察本部のエレベータでは「火災現場の匂いがする」
と物議を醸し出したのは 言うまでもなく
燻された私めの着衣 薪の香りでございました

何故故に私は東京を離れたのか
それは単純明快です
愛する人がそこに居たからです
それも子供達に呼ばれる様にして

東京になく こちらにあるもの
それを終始考えておりました

東京といえど広し すぐ奥地には山々が連なっております
私はこちらへ身を移す以前にはその奥地におりました
東京にも猪も鹿も熊も生きています

生まれは東京新宿 所により北佐久郡 五右衛門風呂育ちで御座います
謎めいた経歴ではございますが 
全ては幼少期の火傷を負いながらの薪燃料生活が所以な気が致します

常に心に山があり そして木々を抱いては海を観じます
杣人は普段誰も気にも留めない"突先"の天上世界に近い処におります
故に死とは身近な存在です
そんな中"生"を強く感じる瞬間というのは”食"の一時、”喉を潤す"一時であります。
山の突先から観た他県の若狭湾の広がりには息を呑みました
霞を喰らい生きていく事は困難でありますが
此処には美味い空気と水があります

話は逸れますが
"みずめ"という木があるのですが 皮を剥いでみてください
サロメチールの香りがします 
昔の木こりはそれを肩や腰に貼り 痛みを癒したそうです
そんなどうでもいい事に興味津々で時代錯誤にも挑戦する日々です

いつの日か東出様にお目にかかれる日を夢に見ながら
慣れぬ文字を叩く作業を終えたいと思います

時節柄 御身大切になさってください
一層のご活躍をお祈りいたしております


志人
―志人さんを知ったきっかけとは?
「友人の多くがヒップホップ好きで、20歳前後の頃に降神を紹介してもらったのがきっかけです。詩的なリリック、叙情的な曲調にそれまで聴いてきたヒップホップと大きな違いを感じ、興奮を覚えました」
―東出さんにとって志人さんはどんな存在ですか?
「実際お会いしたことはありませんが、いつかお会いする機会があっても、そんなに多くを語り合うことはないのかなと思います」
―志人さんの好きな曲、その理由を教えてください。
「『てけてんすくてれすくてんすくす』。
“瑠璃色の空に映えるデネブが憂う有限”“縄跳びする我が子の眼に居住まい正そう”というリリック。日々の営みの中でふと悠久の時に思いを馳せぼんやりとする。幸せは何かと漠然と考えているが、はたと目の前にあることに気付く―。
そんな瞬間が歌われている雄大な曲だと思います」
―音楽家以外の職業で、志人さんに合う職業はなんだと思いますか?
「きっと、対象を見つけて直接的に人の道を説くことはしない方かと思いますが、それこそ“説法”のようなお話ができる方なのではないかと思います。そういう意味では僧侶に近いのかとも思います」
―もしふたりが同級生なら、どんな関係だと思いますか?
「数年に一度連絡を取り合うけども、久しいとも思わない間柄ではないのかと思います」
―志人さんをひと言で表現するならどんな言葉が思い浮かびますか?
「求道」
―これまでのお付き合いの中で印象に残っている出来事、言葉はありますか?
「実際にお会いしたことはなく、文通でのやり取りしかありません。一度お煎餅をお送りした際にお手紙を下さり、その中で“子どもが寝た後に妻とぽりぽり食べています”とお書きになっていて、情景が浮かび微笑ましく心温まりました」
―志人さんを色で例えるとなんだと思いますか?
「群青の空にひとつ光る 一等星の白」
―志人さんの意外な一面とは?
「存じ上げませんが、林業を営んでいるのか、猟師なのか、音楽家だけではないんだろうなと、在り方が不思議な方です」
―志人さんの愛すべき部分、尊敬する部分はどんなところですか?
「きっと、“好きなものに素直”な方なんだと思います。嫌いなものに抗いつつ妥協と我慢を繰り返すのではなく、好きなものを見つけ続けることが、嫌いなものから最も遠く離れる最良の道なのかも知れないと、考えさせられます」

次回は、「志人」さんのお手紙を公開!ご期待ください。

PR

FLYING POSTMAN PRESSは全国5都市で配布しています。