エンターテインメントフリーペーパー フライング・ポストマン・プレス

フライング・ポストマン・プレス

POSTMAN x POSTMAN (ポストマン × ポストマン)

“仲良しのあの人”や“憧れのあの人”に手紙を届ける人気リレー連載『POSTMAN×POSTMAN』。シンガーソングライターの小谷美紗子が次に手紙を書いたのは、同じくピアノを戦友に音楽を生み出しているさかいゆう。

手紙を書いた人
小谷美紗子
手紙を受け取った人
さかいゆう
プロフィール
小谷美紗子(おだに みさこ)
’96年にデビューし、昨年20周年を迎えたシンガーソングライター。弾き語りと平行し、小谷美紗子Trio名義での活動も展開している。真摯で情感溢れる圧倒的な歌声と存在感、その佇まいは唯一無二。多くのミュージシャンからも絶賛されている。昨年はキャリア初の弾き語りベストアルバム『MONSTER』をリリースした。
http://www.odanimisako.com/news/
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▼さかいゆうからの返信
小谷さんへ

次のお手紙、僕を選んでくれてありがとうございます。光栄です。
いつも会った時には言えないようなことをせっかくなら書きたいと思います。
少し長くなりそうですが、これでも半分くらいに短くしたつもりです(笑)。

小谷美紗子の音楽に出会えたことは、産まれて来たことの次くらいに、僕の人生に巻き起こった最も幸運な出来事のひとつです。

小谷さんのアルバム1枚目2枚目がちょうどリアルタイムで、そのメロディは僕らにとっての癒しそのもの、その歌詞たちは僕らにとっての精神的バイブルでした。

その頃の親友たちとは今でも会うたびに小谷美紗子の話で盛り上がります。
そして、僕に小谷美紗子を教えてくれた人生最高の親友はもうこの世にはいません。

彼の狭い部屋に僕らは大体毎日入り浸り、くだらない話をしたり、洋楽邦楽問わずいろんな音楽を聴いたり、それにも飽きたらバイクふかして桂浜に行って寝そべりながら星を観て、潮騒をBGMにさっき聴いていた音楽の話をしたり、好きな子の話をしたりしていました。

彼の寝床の天井には、よく見える大きさで小谷さんの『自分』の歌詞がマジックで書かれていました。

いつでも“ホント”が好きだった彼にとって、『自分』の剥き出しのどぎつい“ホント”の歌詞は寝る前の癒しであり、目覚ましの言葉だったのかもしれません。

彼が亡くなった後の葬儀までの3日間、彼はいつもの寝床に寝ていました。

僕らはその横で小谷美紗子をみんなで聴きながら、いつものように『自分』の歌詞を見上げながら寝ている彼を見て、なんだか死んだ気がしなくて、普段みせない感謝の気持ちがわいて、時折泣きながら喋りかけたりして、恥ずかしさも混ざった不思議な気分でした。

僕がミュージシャンになろうと決意したのは、
彼の葬儀の当日、時間にして僅か2秒の出来事でした。

“おまん、ミュージシャンやりや”

彼の声だったか自分の声だったかわからなかったんですが、それをスピリチュアルって言おうが、脳のなんかって医学的に言おうが、どっちでもいいんです。

とにかく、僕は彼の死と小谷美紗子の音楽によってミュージシャンを志すことになりました。
あれから19年。

バンド経験はないし、カラオケでも目立たない存在の僕が20歳から歌を始め、ピアノは22歳から始めましたが、ちょっとは上手くなりました(笑)。
が、上手くなるたびになぜかどんどん難しくなる音楽の人生ゲームがどうにもオモシロく、一生付き合えるオモチャ箱を手に入れたみたいです。

手紙にあるように、嘘と偽善、こいつらがやっかいですね。
やっかいだからオモシロい!
ウソはいつかバレます。

他人によっていつかバレる前に、まず自分にバレますし、他人にバレるよりも実は、自分で自分の息をちょいちょい止めて勝手に苦しむように、じんわり深く傷つくのかもしれません。
しかし、ウソで語れない真実もどうやらあるようで、オトナですからまあしゃあないけど、あーヤダヤダ(笑)。

そして、ホントはどうなのかと言うと、
ホントはホントでもっとやっかいで不器用で無防備で本音すぎて時々野暮で、人に誤解されることも多々あります。

社会で生きているうちは、できれば誤解はされたくないですね。
が、ホントはホンキの奴に届くことがありますね。

高知の端っこにいた僕に音楽の存在を教えてくれ、
それからの人生を嬉しく狂わせたように、
ホントはホンキを届けます。

小谷さんのホンキの奴は、“絶対にいつか会いたい! 会いたい! 会いたい!”って一心で、ガンバって小谷さんに会いに来たでしょう(笑)?

しかも、ホンキの奴、ご本人にもそこそこ可愛がられてますね。
やっぱ遠回りしてもホントでホンキが一番の近道なんではないでしょうか。

僕もホントを届けてホンキの奴に会いたい。

どなたに似たんでしょうか?
——さかいさんと知り合ったきっかけ、第一印象を教えてください。
「さかいゆうくんの企画コンサートに呼んで頂いた時が、初めましてだったと。印象は、只者じゃなさそうだなと。」
——小谷さんにとってさかいさんはどんな存在ですか?
「同志」
——さかいさんが生み出す音楽をどんな風に感じていますか?
「外国の人にも聴いてもらいたい、誇らしい日本の音楽」
——自分と“似ている”と思う部分はありますか?
「意外と大雑把なところ。たぶん。」
——さかいさんの好きな曲とその理由。
「『Life is』。
“駄目なヤツと言われてもいい 人を傷付けてしまうくらいなら”という歌詞。人を傷付けることをちゃんと怖がる強さとやさしさを持った男らしい曲だと感じています」
——さかいさんの意外な一面を教えてください。
「体育会系な一面。
プロレスや体操が得意だとうかがったので」
——さかいさんをひとことで表現するなら?
「天才」
——ミュージシャン以外でさかいさんに合う職業は何だと思いますか?
「何かしらを監督する仕事。
コーチ、社長など」
——お付き合い中で印象に残っている言葉や出来事はありますか?
「私が弱気になっている時、“どんなことも歌にして下さい”と言われたこと」
——さかいさんの愛すべき部分、尊敬する部分はどんなところですか?
「仕掛けに頼らない、楽曲と演奏だけで成立するパフォーマンス、表現力を磨こうする姿勢」

次回は、「さかいゆう」さんのお手紙を公開!ご期待ください。

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