エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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スペシャルインタビュー「Gotch」

“なまり”と機械的な音。絶妙なバランスで成立する作品にしたかった

――おもちゃを手にした子どものように音楽との向き合い方が無邪気というか、後藤さんが楽しんでいる感じが伝わってきます。
「ははは。そうですね。朝起きて、ごはん食べて、スタジオ行って、準備しながら録り始めて。で、休憩を挟みつつ、夕方になったら飲みに行くっていう(笑)。そういう毎日の繰り返しの中で曲を録ったり、歌詞を書いたり、(ストレイテナーのホリエ)アツシを呼んだり、友だちにお願いしてベースやギターを弾いてもらったり。そんな中、作る音楽に関して僕は基本的に“なまってて欲しい”というか。BECKだったり、多重録音の遊び心やユーモアに憧れるスフィアン・スティーヴンスのように、その人なりのタイム感やグルーヴ、揺らぎが感じられるものであって欲しいんですね。でもベーシックのドラムパターンを打ち込みで作っただけだと、その人の“なまり”が出ないじゃないですか。だからパソコンを使いながら、どうやって作る音楽に人間味を与えていくかがひとつのテーマだったんです。だから自分でピアニカを吹いてみたり、シンセも手弾きしてみたり、逆にドライな機械的な音をビシビシ出してみたり、そういう絶妙なバランスで成立する作品にしたかったんです」
――震災以降、後藤さんは自身のメディア『THE FUTURE TIMES』を立ち上げたり、社会・政治問題についてTwitterでも積極的に発言するようになりましたよね。そうした意識の変化と自らさまざまな楽器を弾いたり、録音したりするD.I.Y.精神で作品制作に臨んだ今回の作品は繋がっているように思うのですが。
Gotch「それは大いにあると思いますね。震災が起きた時、自分は35歳だったんですけど、あの出来事を境に腹をくくったというかね。誤解を恐れている場合じゃないし、誰かに寄りかかっていないでちゃんと両足で立ちたいと思ったんですよ。今回の録音なんかもそうですけど、すべてはトライ&エラーなんですよね。そういう試行錯誤の中で自分なりのやり方を見つけていくしかないっていう。たまに言われたりするんですよ。“(忌野)清志郎みたいにやれ!”って。でも時代も状況も違えば、清志郎さんがやったことは清志郎さんがやったからスゴいわけだし、あんな天才的な人と同じことをやっても勝てるわけない。じゃあどうするのか。僕は僕なりのやり方でやるってことですよ」

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