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この男の新作は、多くの人に待ち望まれていた。今、この時代にKen Yokoyamaというパンクミュージシャンは何を歌うのか。果たして、5枚目のフルアルバム『Best Wishes』は、2011年3月11日以降に刷新せざるを得なかった自らのメッセージ性を、どこまでも瑞々しく躍動するサウンドとメロディに乗せながら、死力を尽くすように刻みつけている。2012年11月、Ken Yokoyamaはかく語りき。

40年間必死こいて、俺の生き方はこうだと表現してきた男が
音楽で表現するべき主義主張を変えなきゃいけなかった

――このアルバムを聴いて、どんな感想を言っていいのか迷っていて。感動したで終わらせるのは絶対違うと思う。ただ、横山健のものすごく強い信念と覚悟を突きつけられ、リスナーに能動的な行動を促す力と、2012年の日本に生きるパンクミュージシャンのタフな愛を提示するアルバムなのは間違いなくて。
「うん。僕の中では、完全に震災以降のアルバムなんです。2011年3月11日から1年8カ月経った今、僕が思っていることを全部詰め込んでいる。なんでそういうアルバムを作ったのか、できればリスナーにわかって欲しいと思っていて。僕は今43歳なんですね。前作『Four』をリリースした1年後に震災があって、その43歳の男の価値観が変わってしまうくらいの出来事が起こったんだよ、ということ。これまで40年間必死こいて、やれパンクはこうだとか、俺の生き方はこうだと表現してきた男が。普通は、40歳って不惑の歳じゃないですか。40にして惑わずのはずが、震災後、自分が音楽で表現するべき主義主張を変えなきゃいけなかったんです。そして、今もその真っ只中にいるということを伝えたいんですよね」
――震災後、健さんは果たしてパンクのアティチュードは一元的なものなのか、自分はなぜパンクミュージックを鳴らしているのか、そしてパンクミュージシャンとして何をするべきなのかを徹底的に対峙し、行動に移してきた。そして、今もその渦中にいる。
「そう、何も終わってないですから。まず、1曲目『We Are Fuckin’ One』の歌詞にも出てくるんですけど、自分の中の拒絶性を排除することから始めなきゃいけなかったんです。今までは、パンクとは、ロックとはこうだと主張する中で、仮想敵を作っていたと言えなくもない。でも、それを取っ払って意見が合うやつだったら、どんどんいろんな人と共鳴していかないといけない。僕はずっとそれがヤだったんです。もちろん、いつだって仲間は必要だけど、根っこの部分では誰とでも仲良くなんてしたくないし、いつでも孤独だし、それがパンクのアティチュードだと思って生きてきたから。でも、今はそんなこと言ってられないんですよ。僕は震災直後にまず人前に立つ人間として、Twitterで避難所や余震の情報などを拡散する発信塔の役割を務めようと思ったんですね。その後、“We Are Fuckin’ One”という言葉を掲げて、自分の足で東北をフリーライブで回るようになったんですけど。そこで、自分の目でこれだけのことが起こったんだということを実感して。そして“健さんのライブがまた観れるとは思わなかった”という言葉をいっぱいもらった時に、僕の中にはもう拒絶性もクソもなくなりましたよね」

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