エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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「今回の映画では現代の正義を描いたつもりです」

――本作で採用された3Dセルルックという手法も、獲得方向へと導くツールなんですか?
「と言うより、獲得方向と合っていた手法だったということですね。例えば、今回の映画が時代劇だったとしたら、もしかしたら3Dセルルックよりも合う制作方法があったかもしれない。今回は作品のテーマと技術とが合致したんです。“サイボーグ009”だったから、3Dセルルックだった。技術が先行してもテーマが先立ってもいけないんですよ。いくら早く走れる靴を発明したとしても、それを履きこなせる人がいないと意味がないというのと同じことです」
――物語のテーマ性と技術が釣り合っていないと…?
「ダメですよね。例えば製作のインフラができあがってしまったがために、“これ使わなきゃ”というような映画があるでしょう? 観ているこちらも先が読めて、“ああ、ここであのCGを使うんでしょ”みたいに思ってしまうような映画が(笑)」
――それは観客としてはがっかりしますね。気持ちよく想像を裏切ってもらいたいです。
「そうですよね。中学の頃に『スター・ウォーズ』を観て僕は衝撃を受けました。誰があの頃、あんな映画ができると想像したか! 宇宙人と人間の顔をした人が、見たこともないバーで、なんだかわからない飲み物を酌み交わしながら会話をするシーンなんて、誰ひとりとして想像していなかった(笑)。それをジョージ・ルーカスという人は“絶対できる”という信念で撮りきったわけですよね。人々の想像を超えるものをどうやって撮っていくか。そういう気持ちを、僕らは持ち続けなければいけないと思います」
――最後に、監督が本作を作る上で一番大切にしたことを聞かせてください。
「石森先生はこの原作で“正義とは?”ということを考え続けていらっしゃったと思うんです。国ごとに正義はあるわけですし、もっと言うと100万人いれば100万通りの正義が存在するわけですよね。だけど石森先生はきっと、人類全体の正義があるはずだと考えていらしたんじゃないかと、僕は原作を読み返す中で思いました。石森先生の作品に対するリスペクトを込めて、今回の映画では現代の正義を描いたつもりです。“石森先生、こんな解釈もありますよね?”というような気持ちで。お客さんに、僕の解釈がどう届くのか。そこもすごく楽しみですね」

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