エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

FLYING POSTMAN PRESS

「なんの“違和感”もなく現場に立つことができました」

――貫多は確かにダメですが、なんとなく憎めず、愛らしいとすら感じてしまう不思議なキャラクターですよね。
「貫多は劣等感やコンプレックスとうまく向き合えず、“ここでそれ言わんでもええやん”というのを、全部やってしまう(笑)。でも、その行為には悪意がまったくないんですよ。心の赴くままに動いたら、なぜだかこうなってしまった…という感じなんですよね。だからどうにも面倒くさい奴なんだけど、憎みきれない。それに人間誰しも、そんな過ちを大なり小なり経験してるものですよね。だから、なんとなく共感できるのかなと」
――森山さんご自身も、貫多に共感はできました?
「共感できたし、結構好きだなとも思っていました。本当は友だちが欲しいのに、いつも自分から人間関係を壊してしまう。それでも誰かに媚びることなく、ひとりでたくましく生きている姿は、なんかいいなと。あと、食べること、飲むことに貪欲なところも結構好きでしたね」
――森山さんの食いっぷりがまた最高で。“人間の欲望を否定しない”感じが、その姿から伝わってきました。
「貫多は、食欲、性欲に対してとことん従順。性欲に関しては台詞でもはっきり出てくるのでそれ以上乗っける必要はないと思っていたんですが、“飲み食い”に関しては、わかりやすい形では出てこないんですよね。だから特にそこは意識しました。きれいに食べるとかではなく、とにかく胃に詰め込むというか…。そういう食べ方っぽいなと。お酒も、撮影中は毎晩飲んでましたね。都内の三畳一間、トイレ付き、シャワー共同という旅館に寝泊まりしていたんですけど、そこから毎日現場に、終わったら飲み屋へ、という生活を送っていました」
――とすると、リアルにお酒が体に残った状態で演じていたんですね(笑)?
「そうじゃないと、スタッフの人に認めてもらえなかったんですよ。“今日、顔むくんでないんだけどどうして?”とか言われたりして(笑)」
――前作『セイジ-陸の魚-』では、自転車旅行をする大学生を演じるにあたり、実際に東京から日光まで自転車で走ったそうですね。森山さんはいつもそんなふうに実体験を役に反映させるんですか?
「元々僕は自転車旅行が好きだったから、『セイジ-陸の魚-』をダシに旅に出たんです(笑)。『苦役列車』もそうですよ。この映画を口実にして毎晩飲んでいたという感じで。役作りには、数限りなく方法があると思うんです。その中で、自分のやりたいと思うことと合致することを選んでやってみる。それだけなんですよね」
――やりたいことができて、役作りにもなる。まさに一石二鳥なんですね。
「そうですね(笑)。それから、もうひとつ言うなら“違和感”を解消できるということですね。例えば、『セイジ-陸の魚-』の時は自転車旅行を体験したことで、劇中で“旅人”と呼ばれることに違和感がなくなったんですね。今回の映画も、なんの違和感もなく現場に立つことができました」

PR

FLYING POSTMAN PRESSは全国5都市で配布しています。