エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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同じ演技はひとつとしてない。役柄が変われば、まったく違う人間に見える、その変わり身の鮮やかさ。演劇界にとっても、映画界にとっても欠かせぬ存在である若手演技派俳優・森山未來が、感性を刺激されたFESTIVALエピソードや、山下敦弘監督とのタッグ作『苦役列車』への想い、そして役者としての在り方を語る――。

「山下監督は、役者に対してちゃんと愛情を注いでくれる」

――どんなところに惹かれて、『苦役列車』に出演を決めたんですか?
「山下敦弘監督の存在に尽きます。山下さんとしっかり本編の仕事がしてみたかったんです。前に一度、『土俵際のアリア』という携帯ドラマではご一緒させていただいたんですけど、やっぱりいつかは映画をやりたいなと思っていたんです」
――森山さんが思う、山下監督の魅力とは?
「そうですね、いろいろありますけど…ひとつには、役者に対してちゃんと愛情を注いでくれるという点ですね。登場シーンの数など関係なく、みんな同じように愛情を注ぎ、各キャラクターに対してちゃんとエッセンスを入れていくんです。だから、例えワンシーンしか出ていなくても、そのキャラクターが立体的、多面的に見えてくるんですよね。例えば、オープニング明けの“のぞき屋”の呼び込みスタッフを演じていらした宇野(祥平)さんとか。すごくリアルでインパクトもあって、おいしいなとすら思いました(笑)」
――確かに実質2シーンだけの登場なのに、その背景まできちんと伝わってきて、魅力的なキャラクターでした。
「そういう人ばかりなんですよ。すべての役者が立つというか、ちゃんと映画の中で生きている。僕は、そういう山下さんの世界観が好きなんでしょうね。気付いたら大抵の作品を観ていましたね」
――『どんてん生活』(’99)から始まる“ダメ男三部作”も観ました?
「はい、観てます」
――本作には、あの初期三部作に通じる空気もあるように感じました。
「そうですね。だから今回のお話をいただいた時に、“やりたい”とは思ったんですけど、どこかで少しだけ引っ掛かるものもあって。それは、あの“ダメ男三部作”のイメージが強かったからなんですよね」
――その引っ掛かりは、どうやって解消していったんですか?
「打ち合わせの時に、“今回はトーンを低く抑えず、どこか抜けのいい、跳ねる感じが欲しい”という言葉を監督やプロデューサーからいただいて。父親が性犯罪を犯し、一家は離散。中学卒業以来、日雇い人足としてスレスレの生活を続けている。ねじ曲がっているし、世間から少しズレているところもあるけれど、でも貫多という男は、ある種のエネルギーを持っている男なんだと。つまり、過去の“ダメ男三部作”とはまた違う、ダメ男の話なんですよね」

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