エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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「“普通”って実は演じるのがむずかしいものなんです」

――スクリーンの中の向井さんは本当に“冴えない普通の大学生”という感じで。だからこそ感情移入して観ることができました。
「よかったです、そんな風に観ていただけて。“普通”って実は演じるのがむずかしいものなんです。今回はとにかく“目立たないようにしよう”と思いながら演じてましたね。カッチリ決めるんじゃなく、かっこつけたりもせず、どちらかと言うとギリギリ流れるか流れないかの狭間というか。そこをバランスよく表現していこうと」
――“流れる”というのはおもしろい表現ですね。それは、作り込みではなく、その場の空気で芝居を変えていくということ?
「空気感みたいなものを芝居に反映させることも確かにあったけど、それよりも自分の勘を頼りにしてましたね。と言うのも、この映画はフィクションなんですけど、カンボジア編はほぼドキュメンタリーの気分で撮影してましたから。“カメラがあるということを意識しないようにする”というところからの芝居だったので、自分の勘に従って動くのが一番かなと思ったんです」
――では、カンボジア人ガイドさんの話を聞いてコータが涙する場面も、自分の勘に従ってのものだったんですか?
「ええ、実はシナリオには“ガイドのブティの話を聞く”とだけ書かれていたんですよ。聞いてる時にどんな反応を示すか、聞いた後にどんな行動をとるかはお任せという感じでした。僕は“カメラがなかったらコータはきっとこうする”ということを、思うままにやっていただけなんです。HIV感染者の病院に行った時もそう。僕はただコータとしてそこに立ち、コータとして現実を見て、あまりにも辛くてどうしたらいいかわからなくなり、ついその場を離れてしまったんですよ。“カットがかかるまでは出ないで”って言われてたのに、それでも我慢できなかったんです」
――どっぷりと役柄に浸っていたんですね。それぐらいの気持ちだと、カメラが回っていない時も切り替えがむずかしかったのでは?
「僕は基本的に衣装を脱ぐと自分に戻るんですよ。でも、今回はちょっと違ったかもしれませんね。完全に自分というよりは、コータも残っていたというか。とにかく、芝山(柄本佑)、矢野(窪田正孝)、本田(松坂桃李)とずっと4人で遊んでましたから。プールで泳いだり、飲みに行ったり、コンビニに買い物に行ったり…いつも一緒にいて。この映画ってある意味“学園もの”でもありますからね。学園ものの場合、キャラクターの距離感みたいなものが、画面にもすごく出ると思っていて。仕上がりを観て、いい関係性を築けてよかったとつくづく思いましたね」

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