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「邪悪で濁ったものがないから、相手もダメージを受けないんでしょうね」

——今回の役柄で言えば、鹿児島弁ですよね。逃げ出さずに“やるっきゃなかった”ことと言えば。
蒼井「そうですね。本当に本当に難しかったですね」
——監督はどうして鹿児島弁を選ばれたんですか?
深川「なつめはこの物語の中で異物であってほしかったんです。それで僕らが普段あまり耳にしない言葉を彼女にしゃべらせたらおもしろいんじゃないかなと。
で、思い浮かんだのが鹿児島弁。実際に鹿児島に行ってみると、すごく言葉の響きがやさしくてそれも気に入って」
——言葉のやさしい響きとは裏腹に、内容は結構きついですよね。意外と毒舌で、そのギャップがまたおもしろかったです(笑)。
蒼井「そう、ひどいこと言ってますよね(笑)。でも響きは本当に心地いい。前に『フラガール』という映画で、福島弁に挑戦しました。その時、“東北弁って聞いてて気持ちいいな”って思ったんですけど、鹿児島弁もまたそれとは違った新鮮な、独特のかわいらしさがありましたね。
ジュリアンという外国人の登場人物が、鹿児島弁はメロディアスだと言いますが、確かに音楽を聴いてるみたいなとこもあって。上がり下がりの振り幅が大きいんですよ。
しかも、ここで上がりたいと思う音の一音前で上がったりするから意外性もあるし」
深川「それになつめは、論理が飛躍しているんです。1、2、3、4…と順序よく話さずに、いきなり1から4にジャンプしたりする。結論を言ってから、なぜそう思ったかを考えていくという感じなんですよね。そういう部分でも意外性があると思います」
蒼井「それは感情に素直だからでしょうね。人間どうしても、大人になればなるほど頭でっかちになりますよね。計算しつつ話すようになったり。なつめを見ていて気持ちいいのは、そういう計算がないからなのかも。言葉の組み立て方があまり上手じゃないので、聞いてる方は一瞬ぎょっとしちゃうんですけど(笑)」
深川「でも憎めないと言うか、すごく愛らしい人だよね」
蒼井「邪悪で濁ったものがないから、相手もダメージを受けないんでしょうね。相手をおとしめてやろうとか、そういう気持ちが少しでも入っていたら、まったく違う結果になると思います」
——そうでなければ、本作の中にあるような素敵な人間関係は生まれないでしょうね。
深川「そうだと思います。どこかしら欠けている人たちが、その欠けている部分を補い合って一緒に生きている。そんな素敵な人間関係は、気持ちが濁っていては成立しないですよ」
蒼井「私自身もこの映画の登場人物とそう変わらず不器用ですが、そんな自分すら肯定してくれるような作品になったなと観て思いました。“私も捨てたもんじゃないな”って。
観た後に、ちょっとだけ人生が上向きになる。おいしいスイーツと一緒に、そんな瞬間を味わっていただけるとうれしいです」

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