エンターテインメントフリーペーパー FLYING POSTMAN PRESS

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「信じられるものがひとつあるだけで、最後まで乗り切れる」

——“影響”と言えば、蒼井さんが演じた臼場なつめは、ただそこにいるだけで周囲の人に影響を与える女性ですよね。
蒼井「そうですね。でも私は彼女を“女性”とは思っていないんです。外見は20代半ばの女性ですが、中身は小学生低学年の男の子って感じ(笑)。江口(洋介)さんが演じた伝説のパティシエの十村さんも、大人の男と見せかけて中身は小学校の男の子ですからね。ふたりっきりで車に乗っていてもドキドキしないんですよ(笑)」
深川「職人はみんな“小学生”なのかも。男とか女とか関係ない世界で、どれだけのものを作るかってことだけですもんね」
蒼井「そうですよね。そんな人って何よりも強いと私は思います。嘘がないんですからね、なつめも十村さんも。『約三十の嘘』っていう映画を観た時に、“ひとつの嘘をかばうためには、30個も嘘を上塗りしなきゃいけないんだ”って、つくづく嫌になっちゃって。
もちろん、相手を思いやっての嘘…そういう嘘であればいいと思うんですが、自分を守り、美化するためだけの嘘は無駄なんじゃないかって私は思っていて。この映画に出てくるのは、そういう無駄な嘘は絶対つかない人たち。そこが素敵だなって」

——“嘘がない”というのは、職人の仕事にも通じますね。やればやるほど、その分ちゃんと結果として出てくるものなのかなと。
深川「人間どうしても自分を甘やかしたり、逃げ出したりしてしまうものだけど、それでは到達できない場所があるんですよね。職人の世界においては特に。
それが十村がかつて立っていた場所であり、なつめがこれから向かう場所なのかなって思います」
——逃げ出しそうになる瞬間、おふたりはどう対処するんですか?
深川「僕は楽じゃない方の道を選びますね。先が見える楽な選択はどうなんだろうって。辛い道の先に、今までにない自分になれる何かがあると思うようにしています。道を選べるってことは、すごく贅沢なこと。選択肢が目の前にある時には、選べる幸せを噛みしめて、物事を決めていきたいです」
蒼井「私はどうかな…。いつも新しい映画のお話をいただく度に、逃げ出したくなるんです。怖いんですよね。でもだからこそ、撮影が始まる前までに何かひとつだけでも信じられるものを手にしておくようにしていて。
不安になった時にはそれを見直し、“私にはこれがある”って自分に言い聞かせ、背中を押してもらうんです。それで何とか最後まで走りきっていますね」
——本作では何が“信じられるもの”だったんですか?
蒼井「監督の存在です。それと、なつめというキャラクターがすごく好きだったということ。今回はそのふたつが大きかったですね。
…ちなみにくだらないんですけど、飲み過ぎた翌日寝坊して、気付いたら友だちとの約束の時間が過ぎてたって時。そんな時も相当逃げ出したくなりません(笑)?」
深川「あー、わかるそれ(笑)」
蒼井「私、今日がなくなればいいとまで思います(笑)。まあでも結局、待ち合わせも映画も、約束したからには“行くっきゃない”、“やるっきゃない”んですけどね」


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